暑い日が続きますね。
こんな季節にはおばけの絵本でひんやりするのはいかがですか?
今回は【暑い夏に!怖すぎないおばけの絵本7選】をテーマに、司書資格を持つ保育士、弓子が夏に読み聞かせたい絵本を選びました。
たくさんの子に楽しんでもらいたいので、お化けの雰囲気はあるけれど怖すぎない絵本をメインに選びました。
夏の読み聞かせの参考にしてみてくださいね。
おばけの絵本7選
おばけのかぞえうた1・一・一つ(おすすめの対象年齢・3歳~)
文と絵 | 高谷まちこ |
出版社 | ハッピーオウル社 |
出版年 | 2023年 |
3歳からおすすめ
・ものの数え方が分かる
・たくさん数えられる!
・気負わない絵がいい
ポイント①ものの数え方が分かる
さぁ、
とのさまだぬきが まってるぞ!
みんなを さそって、あそびにいこう!
と、ひとつめこぞうがとのさまだぬきのところへ行くお話です。
ひとつ
ひぐれに
ひとつめこぞう
次に出てきたのはふるねこおばけ。
ふたつ
ふたまた
ふるねこ おばけ
次に出てきたのはみあげにゅうどう。
みっつ
みるみる
みあげにゅうどう
こんな風に語呂のいい言葉で自然とものの数え方が身につく楽しい絵本です。
ぜひ楽しく読んでくださいね。
ポイント②たくさん数えられる!
ひとつめこぞうの場面では、一つの火の玉と一匹の虫がいます。
ふたまたの場面では、ひとつめこぞうとふたまたが二人並んで歩き、二つの火の玉と二匹の虫がいます。
そしてみあげにゅうどうの場面では、ひとつめこぞうとふたまたとみあがにゅうどうが三人いて、三つの火の玉と三匹の虫がいます。
こんな風にそれぞれの数を数えられるようになっていて、自分でもたくさん数えられるところがおすすめポイントです!
ポイント③気負わない絵がいい
いい意味でゆるくてシンプルな絵で描かれています。
だからお化けといっても怖がらせずに読むことができますよ。
表紙めくってすぐのページに「この絵本にでてくるおばけ」の詳しい説明があります。
そちらを読むとどんなおばけかが分かってより楽しめますよ。
3歳くらいから、遊びながら読むのにおすすめの絵本です!
どっせい!ねこまたずもう(おすすめの対象年齢・4歳~)
作・絵 | 石黒亜矢子 |
出版社 | ポプラ社 |
出版年 | 2018年 |
4歳からおすすめ
・妖怪✕相撲がどちらも面白い
・にゃんこやまが強くていい!
・絵がいい
ポイント①妖怪✕相撲が面白い
ほんじつは 100ねんにいちどの
おおずもうたいかい
と、満員御礼の巻物を持ったかえるの行司が登場します。
きょうこそ にゃんこやまの
ひとりがちには させんぞう
と意気込む妖怪達。
わしには ひさくが あるわい・・・
と、力士のかっぱのさら。
がまのぬまや、たこつぼまる、くじらのうみといった強敵力士たちを相手に様々な技を繰り出す取組が見所です。
ポイント②にゃんこやまが強くていい!
そんな妖怪力士達を相手にするのが、
まけしらず むてきの だいよこづな
の、ねこまた、にゃんこやまです。
大横綱だけあって強い強い!
”うにゃてなげ”(上手投げ)、”つきにゃし”(突き出し)、”うっにゃり”(うっちゃり)などの決まり手で敵をどんどん倒していきます。
特に両開きページを使って大きく魅せる最後の大技は大迫力です!
一緒にスカッとしちゃってくださいね。
ポイント③絵がいい
絵のタッチはゆるくて妖怪は可愛いですがちゃんと不気味さがあります。
でも全体的にはコミカルでとても見やすい絵なのがいいですよ。
妖怪の雰囲気を感じるのにぴったりな絵本です!
絵本の最初と最後には《百年大相撲競技心得》や《まわしの締め方指南》などがあって、相撲についても知ることができることができますよ。
相撲に興味がある子にもおすすめです。
うみぼうず(おすすめの対象年齢・5歳~)
作 | 杉山 亮 |
絵 | 軽部 武宏 |
出版社 | ポプラ社 |
出版年 | 2011年 |
5歳からおすすめ
・お話がいい
・怖すぎないところがいい
・心地よい余韻が味わえる
ポイント①お話がいい
むかしむかしの おはなしです。
きたの はまべの まずしい むらに、
ちいさな おとこのこが、
りょうしの おじいさんと
ふたりで くらしていました。
あるとしの はるのこと、
いつもなら たくさん とれるはずの
ニシンが、どうしたわけか まったく
とれません。
おとこのこも おじいさんも むらの
ひとも、みんな おなかが
ぺこぺこでした。
困った村人達が、ニシンを求めていつもはいかない遠い海に舟を出します。
そして出会ったのは海坊主で―――というお話です。
遠い海に舟を出す時おじいさんが、
「だめじゃ。むかしから
ろうそくいわより おきに ふねを
だすと、おそろしいめに あうと
いわれている。」
と反対しました。
でもそのおじいさんも結局飢え死にしないために舟を出すことになりました。
すると主人公の男の子が
「うん。おらも いく。てつだう」
と言いだします。
「ばかを いうな。おまえみたいな
こどもを、あぶないところに
つれていけるか」
「だいじょうぶ。おら、
きっと やくにたつよ」
そして実際男の子がとっても役に立ったんです。
このように話は淡々と進むわけではなく、言い伝えを大事にしようとしたり男の子の頼もしさが見られたりする場面があって、とてもドラマティックに進んでいきます。
最後までドキドキしながら楽しめる1冊だと思います!
ポイント②怖すぎないところがいい
海坊主はこんな風に現れます。
ザブーン!
みずの なかから うみぼうずが
すがたを あらわしました。
(中略)
それも いったいや にたい
ではありません。
おおぜい いるのです。
この絵本では海坊主は顔がなく、黒く大きなかたまりのように描かれています。
それが子どもが見ても怖すぎないポイントになっていますよ。
それでいて雰囲気はすごく出ているので、いいとこ取りというか、とても面白いです。
おばけのお話の入門にぴったりだと思います!
ポイント③心地よい余韻が味わえる
全てが終わった後、海は元通りの凪になり、空には星座が輝きます。
そしてまたたくさんのニシンが捕れるようになりました。
ハッピーエンドなところが怖くなった気持ちを落ち着かせてくれて、もう一回読みたくなる余韻を感じさせてくれています。
そんなところも含めておすすめしたい一冊です。
ことりぞ(おすすめの対象年齢・5歳~)
作 | 京極夏彦 |
絵 | 山科理絵 |
編 | 東 雅夫 |
出版社 | 岩崎書店 |
出版年 | 2015年 |
5歳からおすすめ
・雰囲気が怖い
・妖怪とは?
・怖すぎないところがいい
ポイント①雰囲気が怖い
この絵本には直接的に怖い描写はありません。
でも私は読んでみて、背筋が凍るような怖さを感じました。
雰囲気が怖い。
これに尽きる気がします。
絵本に出てくるのは能面をかぶった女の子と黒猫です。
その子が、
おばあちゃんの いえの
ぶつだんのある へや
や、
じんじゃの よこの
ふるい おどう
それに、
おはかの おくに いっぱりある
おじぞうさん。
など、”いそう”な場所にいます。
女の子が思わず、
「なにか いますか?」
と言いました。
するとどこからともなく、
「なにも いません」
という声が返ってきました。
女の子が、
「ほんとうに いませんか」
と言うと、
「いたら こわいでしょう」
とまた返事が返ってきます。
そして、女の子に近づく異形な手と、引きずり込まれそうなあの言葉・・・
途中、女の子と何者かの言葉が入れ替わる場面があるので、そこを間違わずに最初から最後まで雰囲気たっぷりに読み聞かせてみてほしい絵本です。
ポイント②妖怪とは?
辞書によると、妖怪は、『日本で伝承される民間信仰において、人間の理解を超える奇怪で異常な現象、あるいは、それらの現象を起こす不可思議な力を持ち科学で説明できない存在。』
とあります。
科学的に証明できない、だけど、いる。
この絵本は、そういう目に見えないものへの恐怖を感じられるからこそ怖く感じられるのかもしれないな、と思いました。
ポイント③怖すぎないところがいい
大人は妖怪のイメージがあるので怖く感じるかもしれません。
でも子どもは、怖い物知らずで全く怖くない!という子もいるかもしれません。
逆に感受性が豊かな子や妖怪が好きな子は怖さを感じるかも知れません。
挑戦してみたい!と言う方はぜひ読んでみてください。
とうふこぞう(おすすめの対象年齢・5歳~)
作 | 京極夏彦 |
絵 | 石黒亜矢子 |
編 | 東 雅夫 |
出版社 | 岩崎書店 |
出版年 | 2015年 |
5歳からおすすめ
・おばけの気配はこわいけど・・・
・最後はほのぼのしてほっとする
・絵がいい
ポイント①おばけの気配はこわいけど・・・
お風呂上がり、
おばけは こわい
と言いながら歯磨きをする男の子。
洗面台の鏡ににやりと笑う男の子が映っていたり、家の所々に目玉が見えたり、ゴミ箱からおばけが顔を出したりしていて、いかにも怖い雰囲気です。
布団に入ってからも怖さは止まりません。
まどから のぞいてたら どうしよう。
へやに はいってきたら どうしよう。
ふとんに のっかってきたら どうしよう。
こわい こわい。
こわくて ねむれない。
男の子の想像は広がり、窓からがしゃどくろが入ってきたり、ドアから雪男のような大足が入ってきた気がします。
これまでの場面で3歳、4歳の子は大分怖がるだろうという感じです。
でも5歳の子くらいだったらおばけの怖さを味わえるかな、と思い、5歳をおすすめの対象年齢にしてみました。
怖がり方は人それぞれなので、お子様の様子で読み聞かせてあげてくださいね。
ポイント②最後はほのぼのしてほっとする
男の子の恐怖が最高潮に達したとき現れたのは・・・!
白い顔に長い舌、豆腐を持った小僧でした。
男の子が
「だれ?」
と聞くと、
「おばけです」
豆腐小僧は答えました。
「こわくないけど」
男の子が思わずそう言うと、
「すいません」
と謝ったりして。
男の子が、
「ほんとに おばけなの?」
といぶかしむと、
「とうふこぞうと もうします」
と、豆腐小僧は言いました。
「おとうふくれるの?」
と聞くと、
「すいません、みせるだけです」
・・・と(笑)
前半とは打って変わって後半はほのぼのしてほっとする展開になってます。
おばけが苦手な子もこのように安心して終わる展開は挑戦しやすくていいな、と思いました。
ポイント③絵がいい
前半の怖い雰囲気のおばけから、後半の見ていて思わず笑ってしまうようなほのぼのするおばけまで、上手に描きわけられています。
ちゃんと怖いけど怖すぎない、可愛いけど可愛すぎないおばけたちがとてもいいバランスです。
ぜひ読んでみてください!
お化けの猛暑日(おすすめの対象年齢・5歳~)
作 | 川端 誠 |
出版社 | BL出版 |
出版年 | 2021年 |
5歳からおすすめ
・人間もお化けも同じ?
・夏がたくさん感じられる
・楽しく読める!
ポイント①人間もお化けも同じ?
朝はやくから、気温があがりはじめ、
三十五度をこえました。
猛暑日です。
ろくろっ首も、首がのびっぱなし。
こかげでも、風がそよりとも
ふきません。
題名にあるとおり、猛暑日のお話です。
お化け屋敷には電気がありません。
というわけで、扇風機もクーラーもないらしく、
ちょうちんお化けも
からかさお化けも
あらら、たたみの上で
バテバテです。
あれ、私たち人間と同じでは?(笑)
この絵本のお化けは全く怖くないので誰でも楽しく見ることができますよ!
ポイント②夏がたくさん感じられる
色々しましたが暑すぎて歯が立たないお化け達。
そんな時、ひょろけというお化けがいいことを思いついて、一反木綿にこう言いました。
「空をとべるお化けは、天狗と
お前さんだけだ。
そこで空にあがって、
龍をみつけだしてくれないか。」
空の上にいる龍に何とかしてもらおうというわけです。
さぁ、一反木綿と天狗は無事龍に会えたのか?
夏らしい展開にぐっとくること間違いなしです。
ポイント③楽しく読める!
終わり方も良くて楽しく読める絵本です。
ぬりかべのこんなエピソードも楽しいですよ。
すだれとよしずといっしょに
日かげをつくってくれていた
ぬりかべも、ついにダウン。
つめたい井戸水を
ぶっかけてやりました。
「おーい、大丈夫かぁ」
日よけになってくれたんだ・・・
ぬりかべありがとう・・・っていう・・・(笑)
暑い夏にぴったりな一冊です!
妖怪の森 絵巻えほん(おすすめの対象年齢・6歳~)
著者 | 水木しげる |
出版社 | こぐま社 |
出版年 | 1995年 |
6歳からおすすめ
・描画がお見事
・細部まで楽しい!
・別冊付録がいい!
ポイント①描画がお見事
登場人物や妖怪たちは2頭身くらいの可愛らしい姿で描かれています。
怖くないので妖怪が怖い子でも楽しめますよ。
そして妖怪の描写がいいのはもちろん、テーマでもある森の背景や岩、花畑、自然の描写がとても細かくて美しいです。
文字はなく絵だけですが、しっかりとした見応えがありますよ。
そして絵巻なので全部広げると長いです!大迫力です!!
眺めているだけでも楽しくなれる絵本です。
ポイント②細部まで楽しい!
じっくり見るとちゃんとストーリーまで感じられるところがいいですよ。
見る限りで分かるのは、人間の男の子と女の子が人の道を外れて妖怪の世界へ紛れ込んでしまったこと。
そして二人は、不思議で怪しくて楽しい妖怪の森を見て回ることになったことです。
この絵本には鬼太郎でおなじみにのキャラクターや、悪魔くんに出てきた百目などの「水木しげる」キャラが出てくるのでぜひ探してみてくださいね。
巻物が進むにつれて時間も進んでいるのでひとつのキャラクターに注目して今どんなことをしているのかな?と気にして見るのいいですね。
細部までとっても楽しくておすすめです!
ポイント③別冊付録がいい!
この絵本には別冊付録『「妖怪の森」をたのしむために』が集録されています。
そこにはこの絵本に出てくる妖怪の名前と特徴が、送り仮名付きの言葉でかかれています。
例えば”とうふ小僧”。
雨がしとしとふっているとき、竹やぶに
大きな笠をかぶった子どもが現れて、
手に持ったおぼんにとうふがのって
いたら、それは「とうふ小僧」
である。いかにもおいしそうだが、
うっかり食べるとからだにかびが
はえてしまうというから要注意だ。
そして”鬼太郎”の説明はこうです。
漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の主人公。
人間よりずっと昔から地球に住んでいた
幽霊族の生きのこり。強くやさしい
正義の味方。
悪い妖怪(ときには悪い人間も)も
こらしめる。髪の毛針や指鉄砲などの
技を多く持っている上、祖先の霊毛で
編んだちゃんちゃんこやリモコン下駄も
強力な武器。
「砂かけばばあ」や「一反木綿」たちは
仲間。
紹介されている妖怪は全部で168体!!
この冊子を読んで妖怪に詳しくなるのもいいですし、紹介されている妖怪がどこにいるかを探すのもいいですね!
家族や友だちとも一緒に楽しめる絵本でおすすめです。
まとめ
今回は【暑い夏に!怖すぎないおばけの絵本】をテーマに7冊紹介しました。
気になる絵本はありましたか?
どれか1冊でもお気に入りの絵本に加えてもらえたら嬉しいです。
紹介された絵本をもう一度チェックしたい方はこちら
当ブログでは他にも色々な絵本を紹介しています。
どれもおすすめの絵本ですのでぜひ読んでみてください。
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