敬老の日に。心あたたまる絵本8選

絵本

9月の第3月曜日は敬老の日です。

法律によると、老人を敬愛し、長寿を祝う日だそうですよ。

本記事では【敬老の日に。心あたたまる絵本】をテーマにして、司書資格を持つ保育士、弓子が、今子どもに読み聞かせたい絵本を厳選して8冊選びました。

この機会におじいちゃんおばあちゃんが出てくる絵本を読んで、家族について考えるきっかけにしてみませんか?

読み聞かせの参考にしてみてくださいね。

敬老の日に。心あたたまる絵本8選

おじいさんならできる(おすすめの対象年齢・4歳~)

作・絵フィービ・ギルマン
芦田ルリ
出版社福音館書店
出版年1998年
おじいさんが頼りになる!

・4歳から
・おじいさんなら何とかしてくれる!
・ものを大切にする気持ちが育つ。

ポイント①おじいさんなら何とかしてくれる!

主人公のヨゼフが赤ちゃんの時、おじいさんが素敵なブランケットをぬってくれました。

 ――きもちよく ぐっすり 

 ねむれますように、こわい ゆめなんか

 みませんように、とねがいを こめて。

でもヨゼフが成長するにつれてブランケットはすっかり古くなってしまいました。

お母さんがもう捨てましょうね、と言いましたがヨゼフは納得しません。

 「おじいちゃんなら きっと

  なんとかしてくれるよ」

するとおじいさんははさみで切ったり針でぬったりしてくれました。

 「ちょうど いいものが できるぞ――」

こうしておじいさんは、ヨゼフにお願いされるたびに次々とブランケットを素敵なものに変身させていったのです。

裁縫が上手でとても頼りになるおじいさん。

ヨゼフの期待に応えてくれるおじいちゃんが気持ちよく、次々と変わっていくブランケットが見所です。

ポイント②ものを大切にする気持ちが育つ!

ブランケットには素敵な思いが込められていたためでしょうか。

布は色々なものに形を変えましたが、色あせることなくずっときらきらと輝いていました。

それらをずっと大切に使い続けたヨゼフの姿から、子ども達はきっとものを大切にする気持ちを感じてくれるのではないかと思います。

ポイント③ねずみの家族がいい

おじいさんとおばあさんいる部屋の床下にはねずみの家族が住んでいました。

ねずみの家族は落ちてきたヨゼフの布きれを生活に取り入れていきます。

ねずみのおうちの中がヨゼフのブランケットと一緒の美しい布きれでいっぱいになっていくところが、もう一つの可愛い見所になっていますよ。

家族の絆が感じられてほっこりするお話です。

おばあちゃんがちいさかったころ(おすすめの対象年齢・4歳~)

ジル・ペイトン・ウォルシュ
スティーブン・ランバート
まつかわ まゆみ
出版社評論社
出版年2004年
今と昔の違いが分かる!

・4歳から
・今と昔の違いが分かる
・おばあちゃんの温かいまなざしがいい

ポイント①今と昔の違いが分かる

 「ねえ、おばあちゃん」と、ロージー。

 「ほら、でんしゃが いくわ」

ロージーという女の子が言うと、おばあちゃんは答えました。

 「おばあちゃんが ちいさかった ころ、

  でんしゃじゃなくて、きしゃだった。

  じょうききかんしゃが きゃくしゃを

  ひいてね。もくもく しろい けむりを

  はいて、 みさきを まわって 

  いったのさ」

ロージーはおばあちゃんとのやりとりで今と昔の違いを知りました。

言葉少なめにゆったりと時がすすむ空気感が心地いい絵本です。

ポイント②おばあちゃんの温かいまなざしがいい

おばあちゃんは、昔が良かった、とは言いませんでした。

ただ、今と昔の違いを静かに伝えてくれただけ。

最後にロージーはこんな質問をしました。

 「おばあちゃんは、ちいさかった ころの

  ほうが よかったと おもう?」

おばあちゃんはどんな返事をしたのか。

それは是非読んで確かめてみてくださいね。

おばあちゃんの温かいまなざしを感じられると思います。

ポイント③柔らかい絵がいい

柔らかくて温かみのある優しい絵です。

ノスタルジーを感じられてお話にぴったりだと思いました。

外国のお話なので金髪だったり瞳の色が青かったり、日本にはみられないものが登場したりします。

そんな異国の暮らしにも興味を持ってくれたらいいな、と思います。

おじいちゃんとおばあちゃん(おすすめの対象年齢・4歳~)

E・H・ミナリック
モーリス・センダック
まつおか きょうこ
出版社福音館書店
出版年1986年
優しいお話です!

・4歳から
・おじいちゃんおばあちゃんとの温かな交流
・気持ちの通った絵がいい

ポイント①おじいちゃんおばあちゃんとの温かな交流

ある日、こぐまのくまくんがおじいちゃんとおばあちゃんをたずねました。

おじいちゃんおばあちゃんはくまくんが来るのを楽しみにしていたようです。

 くまくんは、ジャムつきパンをたべ、

 ケーキとクッキーをたべ、

 ミルクをのみ、ハチミツをなめ、

 それから、リンゴをたべました。

 「もっと おあがり」と、おばあちゃんが

 いいました。「ありがとう。」と、

 くまくんは いいました。

 「ぼく、食べすぎじゃないよね?」

 「ええ、ええ、たべすぎじゃありません

  とも!」

孫を食で可愛がるところがまさにおじいちゃんおばあちゃんですね(笑)

このお話はそんなおじいちゃんおばあちゃんとくまくんの何気ない日常を描いています。

おじいちゃんおばあちゃんがしてくれるお話も優しくて楽しいものでした。

くまくんになったつもりで、お話を楽しんでくださいね。

ポイント②気持ちの通った絵がいい

モーリス・センダックは絵本”かいじゅうたちのいるところ”で有名な絵本作家です。

顔はくまですが、服を着ている体は人間のように描かれています。

ちょっとクラシカルな雰囲気があって、大人にも好まれる絵かもしれませんね。

くまたちの表情がとても良くて、おじいちゃんおばあちゃんとくまくんが触れあう姿に始終優しさが感じられてほっこりします。

ポイント③ユーモアのある言葉がいい

たくさん遊んだくまくんはこんなひとりごとを言いました。

 「ぼく、くたびれてない。

  ぼく、目をつぶっていられるよ。

     でも、ねるんじゃないよ。

  ぼく、ちっとも くたびれてなんかいない」

そう言って目を閉じるんです。

強がっているようにしか感じませんよね?(笑)

こんな風にユーモアがあって、言葉遊びも楽しい絵本です。

読むとほのぼのした優しい気持ちになれますよ。

ぶたばあちゃん(おすすめの対象年齢・5歳~)

マーガレット・ワイルド
ロン・ブルックス
今村葦子
出版社あすなろ書房
出版年1995年
自然と涙があふれます・・・

・5歳から
・愛を感じる優しい物語
・自然の美しさに気づける

ポイント①愛を感じる優しい物語

 ぶたばあちゃんと孫むすめは、

 ずっとながいあいだ、

 いっしょにくらしてきました。

そんなある日異変が起きました。

 ある朝、ぶたばあちゃんは、

 ふだんどおりに起きてきませんでした。

くたびれてしまった、と言い、昼ごはんのときも晩ごはんのときも眠り続けました。

そして、ぶたばあちゃんはこのとき、自分の死期をさとったのでした。

そんなぶたばあちゃんが、孫むすめと、自分のためにしたこととは?

そして、孫むすめがしてくれたこととは?

愛を感じる優しい物語にきっと涙がでるんじゃないかと思います。

ポイント②自然の美しさに気づける

ぶたばあちゃんがした行動で、私たちは改めて自然の美しさに気づくことができます。

木の葉のきらめきや

雲の集まる様子。

水面の美しさ、

雨と土の匂い・・・

当たり前にある自然の美しさ、大切さに気づくきっかけになってくれるかもしれないな、と思いました。

光をたっぷりと感じられる柔らかいタッチの美しい絵にも注目してみてくださいね。

ポイント③今は分からなくても・・・

このお話の良さは子どもには少し理解しにくいかもしれないですし、どんな気持ちになるのかも少し想像しにくいところがあります。

でも、こんな絵本よんでもらったことあったな。

ぶたばあちゃんはどんな気持ちだったのかな。

孫むすめはどう思ったのかな。

そんな風に家族のことを考えるきっかけになればいいなと思います。

大人にもおすすめの絵本です。

へたなんよ(おすすめの対象年齢・6歳~)

ひこ・田中
はまの ゆか
出版社光村教育図書
出版年2017年
下手でいいんだよ

・6歳から
・下手でいいんだよ
・思いやりが大事

ポイント①下手でいいんだよ

 おばあちゃんは、いろいろなことが

 へたなん。

 おかあさんは、

 「へたなんて いうたら アカン」と

 おこります。

 おばあちゃんは、「へたで ええよ」

 って わらうの。

お話はこんな風に始まります。

年をとると、聞くこと、見ること、覚えること、歩くことなどが難しいこともあります。

それを「下手」と表現した女の子。

でも馬鹿にしているわけではありません。

おばあちゃんの代わりにやってあげたり、一緒に買い物に行ったり、手をつないで歩いたりと、女の子の行動はおばあちゃんへの大好きでいっぱいです。

「へたで ええよ」

おばあちゃんには、”下手”なことはたいしたことではないのかもしれません。

助け合うことが当たり前の世界線があたたかいです。

ポイント②上手と下手がある

女の子は自分にも周りのみんなにも上手と下手があることを知っていました。

 おばあちゃん、あのな、わたしにも

 へたなこと あるよ。

 ボールを とるのが こわいねん。

 ワタルくんは じょうずやから、

 そういうてあげると、

 へへ、へへ、へへと あたまを かくよ。

(ページをめくって)

 けど、ワタルくんは はしるのが

 へたなん。

 「からだが おおきいからや」と

 ワタルくんは わらうよ。

 せやから わたしも、

 おおきいねって いうよ。

子ども目線のまっすぐな言葉が、物事の真理なような気がしてなりません。

上手と下手があるのは当たり前だから、助け合って生きているんです。

でもそれが分からなくなってしまう時ってたくさんありますよね。

そんなことに気づかせてくれる絵本です。

ポイント③思いやりが大事

人は誰しも得手不得手があります。

年もとります。

でも人がお互いを思いやって行動すれば、それはそんなに大事にはならないのかもしれません。

気持ちのあり方について投げかけてくれる絵本です。

おじいちゃんがおばけになったわけ(おすすめの対象年齢・6歳~)

キム・フォップス・オーカソン
エヴァ・エリクソン
菱木晃子
出版社あすなろ書房
出版年2005年
おじいちゃんがおばけになった!?

・6歳から
・思いだす旅
・気持ちの整理の仕方

ポイント①思い出す旅

ある日、エリックが大好きだったおじいちゃんが、心臓発作で亡くなってしまいました。

 「じいじは、天使になる」とママはいい、

 「土になる」とパパはいいます。

 どっちもエリックには、ぴんときません。

 じいじがエリックのへやへやってきたのは、

 その夜のことでした。

 じいじはたんすの上にすわって、

 くらやみをぼんやりとみつめていました。

これがおじいちゃんがおばけになった始まりです。

「くらやみをぼんやりとみつめていました。」というところに、おばけの儚さや不気味さが感じられますね。

エリックとおじいちゃんは、おじいちゃんがおばけになったわけを二人で考えました。

それは、おじいちゃんの人生を思い出す旅でもあったのです。

ポイント②おじいちゃんの思い出

おじいちゃんは自分が何を忘れたかを考えているうちに、色々なことを思い出しました。

 「いやあ、いがいといろんなことを、

  おぼえているもんだな」 

 「あにきから、おふるのあかい

  自転車をもらったこと」

 「ばあさんとはじめてデートして、

  キスしたこと」

 「おまえのパパが、

  おしっこをひっかけたこと」

などなど・・・。

これまで色々なことがありました。

おじいさんの人生に思いを馳せて、とてもあたたかい気持ちになれる場面です。

ポイント③気持ちの整理の仕方

誰かが亡くなった時、なかなか割り切れなかったり、気持ちが整理できなかったりします。

そんな時「思い出す」ことは気持ちを慰めて、荒れた気持ちをほんの少しずつでも癒やしてくれるのかな・・・と思いました。

子どもにはエリックの立場になって、いつか訪れる大切な人との別れの受け止め方を、心の片隅においてくれたらいいなと思います。

おばあちゃんがやってきた(おすすめの対象年齢・7歳~)

重本あき子
やまなかももこ
出版社新日本出版社
出版年2019年
綺麗事だけじゃないけれど・・・

・7歳から
・変わっていくおばあちゃん
・ずっと大好きだよ

ポイント①変わっていくおばあちゃん

 ぼくが小学3年生のとき、

 骨折して入院していたおばあちゃんが、

 ぼくんちにやってくることになった。

というわけで、にこにことした優しそうなおばあちゃんがぼくんちにやってきました。

おばあちゃんは色々なサービスを利用してまた歩けるように頑張っていたのですが、骨折して再入院。

それから一ヶ月くらいして、おばあちゃんは退院しました。

 「家でおせわすることにしたので、

  協力してね」

 おばあちゃんは、とても弱って見えたけれど、

 ぼくは、わざとふざけてみた。

 でも、おばあちゃんはしかめっ面。

 入院前とは別人みたい。

このときのおばあちゃんの顔が本当に別人みたいな顔で衝撃をうけました。

食事はほとんど食べられず、ほとんどしゃべらず、強い薬を飲んで目を開けていても、ただつまらなそうな顔をしているおばあちゃん。

現実は綺麗事だけじゃなくて辛い場面にもきっと遭遇すると思います。

変わっていくおばあちゃんは、私たちに現実を垣間見させてくれました。

ポイント②ずっと大好きだよ

それでも”ぼく”は明るくおどけてみたり、頑張れって応援したり、食事を手伝ったりしました。

それはきっとおばあちゃんのことが大好きだったからだと思います。

おばあちゃんが変わっていってもずっと大好きでいてくれた・・・。

そのことがこの絵本の希望のように感じられました。

ポイント③綺麗事だけじゃないけれど・・・

年をとることは綺麗事じゃないと思います。

でも綺麗事じゃないだけでもないのかもしれません。

少し現実的な内容ですが、自分自身も知らなかったことが多く、知ることができて良かったと思います。

小学3年生くらいからの読み聞かせにおすすめです。

おじいさんのハーモニカ(おすすめの対象年齢・8歳~)

ヘレン・V・グリフィス
ジェイムズ・スティーブンソン
今村葦子
出版社あすなろ書房
出版年1995年
あの音を聞くと思い出す・・・

・8歳から
・ジョージア州での交流
・おじいさんのハーモニカ

ポイント①ジョージア州での交流

 ジョージア州の、ある鉄道線路のそばの

 小さな家に、おじいさんがひとり、

 住んでいました。

(ページをめくって)

 おじいさんは、冬のあいだ、ちょっとした

 仕事をしたり、列車がゆきすぎてゆくのを

 ながめたり、すぎさった日々のことを

 思いだしたりして、すごしました。

 でも春になるとすぐに、おじいさんは、

 むぎわら帽子をかぶり、ポーチの下から

 くわをとりだして、小さな家のそばに、

 かなり広い野菜畑をつくりました。

 そして夏のあいだじゅう、キャベツや、

 メロンや、豆をそだてて、そこで

 はたらきました。

そんなおじいさんのもとで、孫娘がまるまるひと夏過ごすことになりました。

そして孫娘はおじいさんのいるジョージアがたちまち好きになったのでした。

孫娘とおじいさんのジョージアでの心温まる交流が見所です。

ポイント②おじいさんの病気

しかし次の夏、おじいさんは病気になってしまいました。

そこでジョージア州を離れ、娘のいるボルチモアへ行くことになったのです。

そこで途方に暮れたような悲しい顔でいるおじいさん。

そんなおじいさんの心を元気にしてくれたのは孫娘と過ごしたあの夏の思い出でした。

ポイント③おじいさんのハーモニカ

あの夏を思い出させてくれたのは、おじいさんのハーモニカでした。

おじいさんが吹いたことがあれば、孫娘が吹くこともあったハーモニカ。

その音色はジョージアの自然にあふれたものだったのではないでしょうか。

おじいさんと孫娘の関係に自然と笑みがこぼれるような、そんなすがすがしいお話です。

ぜひ読んでみてくださいね。

まとめ

今回は【敬老の日に。心あたたまる絵本】をテーマに8冊紹介しました。

気になる絵本はありましたか?

どれか1冊でもお気に入りの絵本に加えてもらえたら嬉しいです。

紹介された絵本をもう一度チェックしたい方はこちら

①おじいさんならできる

②おばあちゃんがちいさかったころ

③おじいちゃんとおばあちゃん

④ぶたばあちゃん

⑤へたなんよ

⑥おじいちゃんがおばけになったわけ

⑦おばあちゃんがやってきた

⑧おじいさんのハーモニカ

当ブログでは他にも色々な絵本を紹介しています。

どれもオススメの絵本ですのでぜひ読んでみてください。

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