もうすぐ2月3日、節分ですね。
この時期に、節分にちなんで鬼が出てくる絵本を読み聞かせてみませんか?
本記事では【鬼がでてくる絵本】をテーマにして、司書資格を持つ保育士、弓子が、節分の時期に読み聞かせたい絵本を厳選して5冊選びました。
読み聞かせの参考にしてみてくださいね。
保育士おすすめ!鬼が出てくる絵本5選
つのはなんにもならないか(おすすめの対象年齢・2歳~)
作・絵 | きたやま ようこ |
出版社 | 偕成社 |
出版年 | 1977年 |
子鬼の冒険がはじまるよ!
2歳からおすすめ
・子どもが飽きない展開がいい
・子鬼たちが目立っていい!
・リズムのいい言葉が楽しい
ポイント①子どもが飽きない展開がいい
この絵本は赤鬼の子ども、あかたろうが主人公です。
あかたろうには青鬼のあおお君、緑鬼のみどりちゃん、黄鬼のきよちゃんという友だちがいます。
みんなで仲良く縄跳びやボール遊びをするのですが、つのがひっかっかって中断してしまいました。
「いやだね。つのなんかあって。」
「どうして つのなんか あるのだろう。」
と残念がる子鬼達。
「じゃあ・・・、ぼうけんに いこう!」
そいうわけで冒険することになったのですが、そこからは息をつかせません!
何度もピンチになるたびにギリギリですり抜けていくんです!
展開が次々と変わりますがしっかりまとまっていて、子ども達も飽きずに楽しんでくれると思います。
ポイント②子鬼達が目立っていい!
背景は白を基調としていて、4色のカラフルな子鬼達がよく目立っています。
低年齢の子がみても分かりやすいイラストがとてもいいですね。
ジャングルに入っていくと木々や草が描かれます。
その背景も茶色で控えめに描かれているため、やはり子鬼達が分かりやすいです。
小さいサイズの絵本ですがメリハリがあって、少人数の読み聞かせにもおすすめです。
ポイント③リズムのいい言葉が楽しい
動物たちに襲われるところは同じリズムの言葉で進んでいきます。
「わーっ! ライオンだ!」
「ガオー!あかくて
おいしそうな やつがいるぞ」
ライオンは、いきなり、
「パクリ。」
あかたろうくんを のみこんだ。
だけど、つのが おなかで ゴリゴリゴリ。
「うえーっ。こんな まずい
にく くったことない。」
あわてて あかたろうくんを はきだした。
特に楽しいのが「うえーっ。こんな まずい にく くったことない。」のところです。
うえーっとか、くったことない、の部分が特に気持ちが入ってついつい熱く読んでしまう私です(笑)
おにのこあかたろうシリーズは全3冊です。
どれもおすすめの絵本なので、「つのはなんにもならないか」が気に入ったら他もぜひチェックしてみてくださいね。
同じシリーズの他の絵本はこちら
まゆとおに(おすすめの対象年齢・3歳~)
文 | 富安暢子 |
絵 | 降矢なな |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 2004年 |
まゆと鬼の面白いお話です♪
3歳からおすすめ
・痛快で面白いストーリー
・憎めない鬼がいい
・迫力もある可愛い絵
ポイント①痛快で面白いストーリー
まゆはやまんばの子どもです。
ある日、鬼はまゆを食べようとさらいました。
でも、まゆは鬼を知りませんでした。
だからさらわれたという意識もなく、鬼のことを遊びに誘ってくれた親切な人だと思っていました。
「じゃあ、なにか
おてつだいすることは ない?」
まゆは鬼が自分を食べる準備をしているとは知らずに手伝おうとします。
鬼がたきぎを集めるように頼んだら、太い木を一本根っこから引っこ抜きました!
石を2、3個集めるように頼んだら、岩屋の壁を蹴っ飛ばして、大きな岩を3つも軽々と抱え上げてきました!
びっくりぎょうてんの鬼!!
めちゃめちゃ力持ちの子どもだ!!!
って思ってますよね(笑)
まゆはただお手伝いしただけなのに・・・・
二人の認識の違いが笑いを誘います(笑)
ポイント②憎めない鬼がいい
憎めない鬼がいいですよ。
だって強いはずなのに、こんな小さな女の子(実際はやまんばなんですが)に言いようにされて振り回されてるんですから・・・。
泣いてまゆに担がれちゃったりお尻を突き出しちゃったり!(笑)
色々ありましたが、最後にはまゆとおには仲良しになりました。
そのひから、まゆと おには
なかよしになりました。
おには おなかが へると、
ときどき やまんばの いえに
おにぎりを ごちそうになりに
やってきました。
でも、もう にどと、まゆを
たべようなどとは、おもいませんでした。
めでたしめでたし、ですね。
ポイント③迫力もある可愛い絵
筆で描かれた絵は勢いがあって迫力満点!
特にけむくじゃらな大鬼は画面いっぱいに描かれていてすごい迫力です。
そんな鬼が目をまんまるにしたり、両足をそろえて怯えたりするから、お茶目ですね(笑)
まゆは無邪気な表情や仕草がとっても可愛いですよ。
余談ですが・・・
まゆの側にはいつもきつねがいます。
そのきつねが鬼を怖がりながらも立ち向かったり、まゆに危険をしらせようとしている様子がほぼ全てのページに描かれています。
名脇役のきつねにもぜひ注目してみてくださいね!
「やまんばのむすめ まゆのおはなし」はシリーズになっていますので、「まゆとおに」が気に入ったらこちらもチェックしてみてくださいね。
同じシリーズの他の絵本はこちら
だいくとおにろく(おすすめの対象年齢・4歳~)
日本の昔話 | |
再話 | 松井直 |
画 | 赤羽末吉 |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 1967年 |
昔話の名作です!
4歳からおすすめ
・駆け抜けるようなテンポのいいストーリー
・絵がいい!
・ラストがいい
ポイント①駆け抜けるようなテンポのいいストーリー
「だいくとおにろく」は岩手県に伝わる民話だそうです。
むかし、あるところに、
とても ながれの はやい
おおきな かわが あった。
あんまり ながれが はやいので
なんど はしを かけても、
たちまち ながされてしまう。
むらの ひとたちは、
とんと こまりはってていた。
橋を何度架けても流されてしまうので、この辺りで名高い大工に橋をかけてもらうことにしたんですね。
引き受けてはみたものの、できるか心配になった大工。
すると川の中から鬼が出てきました。
鬼はこう言います。
「おまえが いくら じょうずな
だいくどんでも、ここへ はしは
かけられまい。
けれども、おもえの めだま よこしたら、
おれが おまえに かわって、
そのはし かけてやっても ええぞ」
はたして大工は目玉を渡したのか?
そして橋はかかるのか?
それは読んで確かめてみてくださいね。
無駄のない言葉でとてもテンポ良く進んでいくので、子どもも最後まで飽きずに楽しめると思いますよ。
ポイント②絵がいい!
赤羽末吉さんはたくさんの昔話絵本の絵を描かれています。
鬼を題材にした絵本をよく手がけていたことから「鬼の赤羽」という異名もあったようです。
この絵本の鬼は表情がいいです!
特に最後の場面の表情がとてもいいので注目してみてくださいね。
薄墨で描いたような線も昔話の雰囲気に合っていて素敵な絵だと思います。
ポイント③ラストがいい
最後、大工が鬼の名前を当てようとする場面。
「そんな なまえでは ない
なかなか おにの なまえが
いいあてられるもんじゃない」
とにかにか笑います。
大工はついに正解の名前を言い当てました。
すると鬼は消えてしまいます。
そして鬼が消えると同時にお話も終わるんです。
この潔さと余韻は、他の絵本にあまりない走り抜け方で、子どもも読み終えた後しばらくの間静かになってしまうほどでした。
とても印象的な絵本です。
↑こちらの絵本を紹介している記事はこちら
じごくのそうべえ(おすすめの対象年齢・6歳~)
作・絵 | たじま ゆきひこ |
出版社 | 童心社 |
出版年 | 1978年 |
鬼の絵本と言えばこれ!
6歳からおすすめ
・鬼の絵本の傑作
・落語由来の語り口が楽しい
・迫力ある絵がいい
ポイント①鬼の絵本の傑作
鬼の絵本の傑作、と言えるくらいの名作だと思います!
お話は、かるわざし(軽業を演じる芸人)の主人公、そうべいが綱渡り中に落下して死んでしまうところから始まります。
そうべいは地獄へ向かわされました。
そして、歯ぬきしのしかい、医者のちくあん、山伏のふっかいと合流します。
それから4人はえんま大王の元へ向かわされて沙汰をまちました。
判決は全員地獄行き!!
4人とも地獄へ落とされてしまいます。
しかしめげないこの4人。
色んな地獄を4人それぞれの力を使って乗り越えていく様は痛快ですよ。
最初から最後までほんとに面白いのでぜひ読んでみてほしいです!
ポイント②落語由来の語り口が楽しい
この絵本は、上方落語の名作「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を、人間国宝の桂米朝師匠が、今に通じるよう仕立て直したものを原案にしているそうです。
落語らしいユーモアとジョークがたっぷりある絵本です。
そして独特の語り口(この場合は関西弁の語り)が軽快なんです。
とざい とうざい。
かるわざしの そうべえ。
いっせいちだいの かるわざでござあい。
こちらの松のえだから、
むこうに見えまする 酒ぐらのやねまで、
みごと わたりおおせますれば、
ごかっさいを。
そうれ。
ペペン ペンペン ペーン
思わず読みたくなるくらいリズムがいいですね。
このように軽業をしていたらそのまま足を滑らせて落ちて死んでしまいました。
ここ。どこやろか。
死んでしもたんや。
えらいことに、なってしもたわ。
この道、どこへいくんやろか。
このように、お話が登場人物の語り口で進んでいきます。
説明文がないので臨場感たっぷりです!
口に出して読めば読むほど楽しい絵本なので、ぜひ読んで楽しんでくださいね。
ポイント③迫力ある絵がいい
迫力があって独特の色合いが特徴的な絵本です。
これは型絵染(かたえぞめ)という技法で作られているそうです。
特にいいのは、登場人物の表情や動きがコミカルに表現されているところです!
鬼やえんま大王も表情豊かで思わず笑ってしまいますよ。
どこかゆがんだように描かれているのがくせになるんですよね。
ごうごうと燃える炎やくしゃみをする鬼の顔、ぐらぐらと沸く熱湯のかまなどは本当に迫力があってすごいです。
お話の面白さと絵の迫力のバランスがよく、読み聞かせにぴったりの一冊だと思います!
「じごくのそうべえ」もシリーズになっているので、気に入ったらこちらもチェックしてみてくださいね。
同じシリーズの他の絵本はこちら(一部)
泣いた赤おに(おすすめの対象年齢・6歳~)
作 | 浜田広介 |
絵 | つちだのぶこ |
出版社 | あすなろ書房 |
出版年 | 2016年 |
泣ける鬼の絵本と言えばこれ!
6歳からおすすめ
・泣ける鬼のお話の傑作
・赤鬼と青鬼の関係がいい
・優しさあふれる絵がいい
ポイント①泣ける鬼のお話の傑作
このお話は小学校の教科書にも載ったことがあるそうです。
お話自体は1935年に出版された『ひろすけひらかな童話』の中に所収されています。
その後色々な方が絵をつけた絵本が多数出版されました。
今回はつちだのぶこさんが挿絵を描かれた絵本をご紹介します。
紹介する理由は、原文に近いこと、そして親しみやすいイラストと表情描写がはっきりしていることで話が分かりやすく、幅広い子どもに受け入れられやすいと思ったからです。
このお話の主人公は、人間と仲良くなりたい赤おにです。
でも人間に警戒されて思うようにいきません。
そこで友だちの青おにがある提案をしました。
それは、自分が(青おにが)赤おにをやっつけて人間を助ける芝居をするというものです。
それじゃ青おにが悪者になっちゃうんじゃ・・・
その後の展開がとっても涙を誘う絵本です。
鬼が出てくるお話の中で間違いなく感動できるお話だと思います!
私は毎回読みながら涙ぐんでしまいます・・・。
ポイント②赤鬼と青鬼の関係がいい
このお話の赤おにと青おにはお互いを思いやりあっています。
青おにが赤おにに「一芝居打とう」と提案したとき、赤おにはこう言いました。
「ふうん。うまいやりかただ。
しかし、それでは、
きみにたいして、すまないよ。」
すると青おにはこう言います。
「なあに、ちっとも。
水くさいことをいうなよ。
なにか、ひとつの、
めぼしいことをやりとげるには、
きっと、どこかで いたい思いか、
損をしなくちゃならないさ。
だれかが、ぎせいに、
身がわりになるのでなくちゃ、
できないさ。」
なんとなく、ものがなしげな目つきを見せて、
青おには、でも、あっさりと、いいました。
この言葉は物事の心理をついたような言葉だと思いました。
青おにはそういう広い視野を持っている鬼です。
行動にも最後まで一貫性がありました。
そして赤おにと青おにが一芝居打った後に青おにが逃げ出すとときのやりとりでは、
あわてたようなふりをして、
戸口をでようとするときに、
青おには、わざと、ひたいのをはしらのかどに
うちあてるまねをしました。
ところが、つよくうちすぎて、
おもわず声をたてました。
「いたたっ、たっ。」
赤おには、びっくりしました。
「青くん、まてまて。見てあげる。
いたくはないか。」
赤おには、しんぱいしながらおいかけました。
芝居中にもでてしまう赤おにの心の優しさと素直さがにじみ出ていますね。
この絵本の題名は「泣いた赤おに」ですが、この絵本は赤おにと青おにの関係性にスポットが当てられていて、個人的には青おにも主人公だと思います。
かなしくも心温まるお話です。
ポイント③優しさあふれる絵がいい
この絵本の表紙は赤おに、裏表紙は青おにです。
赤おにも青おにも主人公にした素敵な表紙だと思いました。
3頭身の丸いかわいらしいイラストです。
良いと思うのは、表情がはっきりと分かることです。
穏やかな顔、怒った顔、困った顔、不安な顔、笑った顔、そして泣いた顔・・・
絵がお話をサポートしてくれていると思います。
そしてこの絵本では最後のページで、救いとも思える一場面が描かれています。
悲しいだけだとちょっと苦しいですよね。
私はこの場面がとてもあたたかくて好きです。
まとめ
今回は鬼をテーマにした絵本を5冊紹介しました。
気になる絵本はありましたか?
どれか1冊でもお気に入りの絵本に加えてもらえたら嬉しいです。
紹介された絵本をもう一度チェックしたい方はこちら
当ブログでは他にも色々な絵本を紹介しています。
どれもおすすめの絵本ですのでぜひ読んでみてください。
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