5歳児が夢中になる絵本があるのを知っていますか?
今回は【保育士おすすめ!5歳児が夢中になる絵本】をテーマに司書資格を持つ保育士歴16年目の保育士、弓子が絵本を選びました。
今まで読み聞かせてきた経験から、

5歳児の読み聞かせにはこれ!!
という絵本を3冊厳選しています。
選んだポイントは、
・よく聞いてくれる
・たくさんの子に喜ばれる
絵本です。
5歳児に人気で、5歳児が本当に夢中になる絵本が知りたい方は参考にしてみてくださいね。
保育士おすすめ!5歳児が夢中になる絵本3選
11ぴきのねこ
文・絵 | 馬場のぼる |
出版社 | こぐま社 |
出版年 | 1967年 |

可愛くて面白いです!
・ゆるい絵が可愛い
・ユーモラスなお話がいい
・見守るナレーターがいい
ポイント①ゆるい絵が可愛い
ラフに描いた線やねこの表情など、ゆるくて可愛い絵本です。
作者の馬場のぼるさんは漫画を描かれていたこともあるようで、そのせいか描き方がちょっと漫画っぽくて親しみやすいんですね。
ねこが11ぴきもいるので画面はいつも賑やかで楽しいですし、いつもはバラバラに行動するねこたちがいざ団結して一斉に動く場面は見応えもあります。
可愛いねこ達に癒やされてくださいね。
ポイント②ユーモラスなお話がいい

「11ぴきのねこ」シリーズは全6巻です。
どの絵本にも共通しているのが、ユーモラスな面白さがあるところです。
おなかをすかせた11ぴきのねこは湖にいかだでこぎ出し、体力と知恵を使ってついに巨大な魚を手に入れることができました!
巨大な魚を見せてみんなを驚かせたいので、食べずに持って帰ろうと決めたねこたち。
「それまでは ぜったいに
たべないこと!」
「さんせーい。」
よだれがでてくるのをがまんしつつ、ちらっちらっと後ろをみるねこたち。
そして、みずうみがまっくらやみになって夜があけると――?
さあ予想はついたでしょうか?(笑)
このオチは見せ方も上手で大人も思わず笑ってしまいますよ。
ポイント③見守るナレーターがいい
このお話はナレーターと、ねこたちの会話で進みます。
11ぴきのうち、しま模様のあるねこが親分肌の「とらねこたいしょう」です。
とらねこたいしょうはリーダーシップを発揮して「おうい しょくん」と呼びかけて、捕まえた大きな魚を持って帰ろうと提案します。
みんなも賛成しましたが最後は・・・?
結末を見たナレーターの嘆きがいいんです(笑)
だめなねこたちを見守るこのナレーターの存在が、この絵本の温かい雰囲気を作っているんだと思います。
11ぴきのねこシリーズの中で「11ぴきのねこ」の次におすすめなのがこちらです。
↑こちらの絵本を紹介している記事
この2冊は特に、だめなねこたちとオチが面白くて子どもも大人も笑ってしまいます。
「11ぴきのねこ」が気に入ったらぜひチェックしてみてくださいね。
11ぴきのねこシリーズの絵本
↑こちらの絵本を紹介している記事
6冊セットもおすすめです!
おおかみと七ひきのこやぎ
グリム童話 | |
絵 | フェリクス・ホフマン |
訳 | せた ていじ |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 1967年 |

昔話絵本の名作です
・絵が美しい
・共通のイメージがある
・原作に忠実な描写がいい
ポイント①絵が美しい
細い線と落ち着いた色調がまるで美術品のように美しい絵本です。
深緑と淡い黄色、黒、白、灰色と、色少なめに塗られた配色がおしゃれな一冊。
美しいですが画面が静かすぎると言うこともありません。
おおかみが飛び込んでくる場面や、おかあさんやぎが悲しみに暮れる場面、おおかみが井戸に落っこちる場面などはちゃんと動きがあって、すごくドラマティックです。
そして、おかあさんやぎと子やぎとおおかみの描き分けが見事なんです!
おかあさんやぎは仕草がとても上品で、美人。
子ヤギはおなかがぽっちゃりしていていかにも”子ども”です。
おおかみはスタイリッシュで荒々しい様子。
知恵の働く悪者は得てしてスマートな外見をしているような?
それぞれの登場人物をしっかり描き分けているところが物語に深みを与えてとても魅力的だと思います。
ポイント②共通のイメージがある

お話はおかあさんやぎが留守の間に、子やぎたちがおおかみに食べられてしまい、生き残った一番下の子やぎとおかあさんやぎが、眠っているおおかみのお腹を切り裂いて子やぎたちを助け出す、という物語です。
誰もが知っている話だからこそ、大人も子どもも共通のイメージをもって読めることがいいですね。
劇遊びにも向いていると思います。
そして、昔話や名作のように誰もが知っていてよく出回っている絵本は、子どもにとっていい絵本(子どもが夢中になって聞ける絵本)を選べるようになるチャンスだと思います。
昔話や名作はもとの話の面白さがあるのでどんな絵本でもある程度面白くはなりますが、やっぱりいい絵本はすごく面白いです。
同じ話を題材にしているのに、読んでみたら子どもの聞き方が全然違うことがあります。
大人も読んでいる時のお話の楽しさや深みが違うこと気づけたら、絵本選ぶ視点がすごく変わってくると思います。
絵本のはじめの部分だけでもいいのでぜひ読み比べてみてくださいね。
子どもが夢中になれる絵本をたくさん読んであげることで、自然と読書が好きな子になっていくと思いますよ。
ポイント③原作に忠実な描写がいい
昔話には残酷な描写が多いです。
この絵本には、オオカミが井戸に落ちたところを子やぎたちが「おおかみ しんだ!」と喜ぶ描写があります。
これは善悪の明確な判断を、残酷な話を通して子どもたちに伝えたいというメッセージが込められているためだと言われています。
近年、昔話の残酷な場面を書き換えたり、取り除いたりした絵本も多く見られます。
しかしこれは、昔話の物語としての魅力をなくすばかりか、残酷な場面の描写が人間の醜さ、自然の驚異、死の恐怖などを知る機会を見落とすことにもなる、という意見があるそうです。
私はそういう意見を踏まえて、残酷な描写がある昔話も読み聞かせたいと思っています。
生きていくだけで大変な時代に、その時代を生き抜く知恵として子どもにお話を語り継いできたことを思うと、その狙い通りに読むことが子どもにとっていいと思うからです。
今だって生きるだけで大変な時代です。
知恵は必ず役に立つと思います。
昔話は、子どもの無意識に語りかけると言います。
昔話は、無意識のうちに抱いている不安を和らげ、子どもを勇気づけて、人生に立ち向かう力を与える、だからこどもにとって大切だという考えがあるそうです。
私は昔読んだ「わらしべ長者」のお話が大好きでした。
交換したものがこんなに大きくなってサプライズで返ってくるなんて「すごい!信じられない!」と思っていました(笑)
人にいいことをすると何かいいことが返ってくるんだなって思いました。
その気持ちが、無意識レベルで大人になった今もあるとしたら、それは私の生きる知恵になって私を支えてくれているのかもしれませんね。
昔話でおすすめの絵本
↑こちらの絵本を紹介している記事
↑こちらの絵本を紹介している記事
おしいれのぼうけん
作 | ふるた たるひ たばた せいいち |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 1986年 |

ねずみばあさんが印象的
・押し入れから冒険が始まる!
・5歳児の等身大の姿がいい
・ねずみばあさんが強烈!
ポイント①押し入れから冒険が始まる!

この絵本は読み出したらやめられない、手に汗にぎる冒険ファンタジーです。
物語はこんなふうにはじまります。
ここは さくらほいくえんです。
さくらほいくえんには こわいのもが
ふたつあります。
ひとつは おしいれで
ひとつは ねずみばあさんです。
主人公は、さとしとあきらという二人の男の子です。
2人はミニカーの取り合いをして、友だちの手を踏みつけてしまい、水野先生に押し入れに閉じ込められてしまいます。
なかなか謝らないで押し入れから出してもらえない2人は、次第に結束します。
それが表紙の絵に繋がるんですね。
こころを通わせた二人に、ファンタジーの扉が開かれます。
恐ろしいねずみばあさんが、たくさんのおとものネズミを連れて現れるのです。
二人はこれからどうなるのか!?
それはぜひ読んでみて下さいね。
読後感もいいですし、最初から最後まで息つく間もなくて物語への没入感を感じられる一冊です。
この絵本は5歳児が普段親しんでいる絵本の中ではかなり長いと思います。
中には読書経験が少なくて飽きてしまう子もいますが、それでもとてもよく聞いてくれる絵本です。
読み聞かせているうちに子どもたちの表情が真剣に変わっていくのを見られますよ。
ポイント②5歳児の等身大の姿がいい
2人はそれぞれに言い分があって納得していないので簡単に謝ったりしません。
大人が「いけない」と言うから悪いことなんだ、とは簡単に判断しないんですね。
自分なりに考えて納得のいく理由がないと言いなりにはなりません。
おかしいと思うことについて言葉や行動で表現できるのが5歳児で、この絵本ではそんな5歳児の姿をしっかり描いていると思います。
そうこうしているうちにさとしが、
「あーくん。さっきはごめんね。
ミニカー、かえすよ。
これで、あそべよ。」
と、自分で判断して、自分から謝まります。
こうやって自分で判断して納得すると、自分から謝れるんですよね。
「あーくん。がんばれ」
と励ますさとしを、あきらは
さとちゃん、とってもいいとこあるなと、
あきらは おもいました。
と感じています。
このように、物事を色んな角度から見る力が育ってきているのが5歳児です。
友だちのことも、色々な面から理解できるようになります。
この絵本、もし5歳児の子どもが自分たちを客観的に見ることができていたら「そうそう!分かる分かる!」って、共感の嵐なんじゃないかと勝手に思ってます(笑)
ポイント③ねずみばあさんが強烈!
読み聞かせしていても、「えっ、まだ追ってくるの!?」と思うくらいしつこいのがねずみばあさんです。
ねずみばあさんは、水野先生なんですよね。
力ずくで謝らせようとしてくる存在です。
でもそれになんとしてでも屈しない子どもたちは、本当にすごい冒険をしたなぁと思います。
読み聞かせてもらった子どもが大きくなっても忘れずに覚えているのはこのねずみばあさんのおかげなんじゃないでしょうか。
インパクト抜群なねずみばあさんが登場する「おしいれのぼうけん」。
一度読んだらきっと忘れられない絵本になると思います。
ふるたたるひ、たばたせいいちのおすすめの絵本
まとめ
今回は【保育士おすすめ!5歳児が夢中になる絵本】をテーマに絵本3冊を厳選して紹介しました。
どれか1冊でもお気に入りの絵本に加えてもらえたら嬉しいです。
そしてこちらの記事では『【5歳児】読み聞かせの5つのコツ』について園児や子どもに読み聞かせてきた経験から、5歳児への読み聞かせ方のコツをまとめました。
ぜひあわせて読んでみてください。
子どもの成長には個人差があります。
5歳児向けの絵本が合わないと感じたら、4歳児向けの絵本を読でみるとお気に入りの本が見つかりやすいと思います。
こちらもチェックしてみてくださいね。
その他のおすすめの絵本はこちら
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