4月、5月は山や公園、田んぼに緑があふれる季節ですね。
新緑は初夏の訪れを感じさせてくれます。
今回は【4月、5月に読みたい緑いっぱいの絵本】をテーマに、司書資格を持つ保育士、弓子が子どもに読み聞かせたい絵本を7冊選びました。
読み聞かせの参考にしてみてくださいね。
4月、5月に読みたい緑いっぱいの絵本7選
3歳からおすすめ
じかきむしのぶん
作 | 松竹いね子 |
絵 | 堀川 真 |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 2008年 |

可愛い”ぶん”の絵本です
3歳からおすすめ
・リズミカルで軽やか
・絵の表現がいい
・ぶんが可愛い!
ポイント①リズミカルで軽やか
お話はこんな風にはじまります。
おひさま いっぱいの なつ
もりの こみちは いいにおい
緑豊かな景色が広がっていて、とてもきれいです。
「ここが いいわ」
とんできたのは じかきむしの
おかあさん。
おいしい はっぱのなかに
たまごを ぷちんと うみました。
このお話は、じかきむしの”ぶん”が、卵から成虫になるまでの物語です。
じかきむしとはハモグリバエの幼虫で、葉の表皮を残して葉肉を食べます。
歩いた跡が白くなって字のようにみえることが、じかきむしの由来となったようです。

↑これが食べた後の葉っぱです。
確かに文字のように見えますね。
さくさく たべると トンネルできる
さくさく たべると うんちも でるよ
ぽと ぽと ぽと
リズミカルで軽やかな表現が素敵です。
ポイント②絵の表現がいい
絵本の画面が3分割されている場面もあります。
上のスペースには自然が、真ん中の大きなスペースには全体の様子が、下のスペースには”ぶん”が葉っぱを食べ進めている様子が描かれています。
変化と見応えがあって面白いですよ。
トンボや蝶々や、コガネムシがぶんに話しかけてくれました。
虫達はやつやししていて、羽に透明感があってとてもきれいです。
ぶんがさなぎになって眠るときの背景なども幻想的で素敵なので、ぜひ注目してくださいね。
ポイント③ぶんが可愛い!
目がくりっとしてて、小さくて仕草も愛らしいぶんがとにかく可愛いんです!
読むとメロメロになること間違いなしです(笑)
昆虫が好きな子に特におすすめの一冊です。
虫をテーマに紹介している記事
いっしょだよ
写真・文 | 小寺卓也 |
出版社 | アリス館 |
出版年 | 2012年 |

美しい写真絵本です
3歳からおすすめ
・語りかけるような言葉がいい
・写真がきれい
・余韻を感じられる
ポイント①語りかけるような言葉がいい
ひろい ひろい もりのなか
うまれたばかりの きのめ
ひとりぼっち・・・なのかな?
ページを開くと、枝にたくさんの木の芽が生えています。
ちがうよ いっしょ だよ
木の芽には仲間がいて、ひとりぼっちではありませんでした。
花も葉っぱもそうです。
おはなは いっしょ
ふたりで いっしょ
はっぱは いっしょ
さんにんで いっしょ
植物をまるで人のように語るのが子どもとって親しみやすいと思いました。
語りかけるような言葉にも優しさを感じますね。
ポイント②写真がきれい
この絵本は写真絵本です。
たくさんの光を浴びた鮮やかな新緑。
逆光の暗がりに光が少し差す感じや、雨上がりのしっとりとした土の感じ。
こけが蒸したような深い緑・・・。
美しい緑の写真がとてもきれいなので大人も一緒に癒やされてくださいね。
ポイント③余韻を感じられる
わいわい がやがや
もりは いっしょで いっぱいだ
森は、葉っぱや虫や木やきのこ、大小さまざまな物が集まって”いっしょ”ですよね。
でも ほんとはね
みんな だれもが ちがうもの どうし
ひとりの だれかと ひとりの だれか
ひとりと ひとりが
いるから いっしょ
あなたは だれと いっしょかな?
「一緒」とひとくくりにしていますが、本当は「ひとつ」と「ひとつ」の集まりだと。
それは森だけでなく人間の世界もそうですね。
抽象的な言葉で想像が広がっていく場面です。
広がる余韻を楽しんでくださいね。
小寺卓也のおすすめの絵本
みどりのはしご
作 | 安房直子 |
絵 | 黒井健 |
出版社 | 復刊ドットコム |
出版年 | 2016年 |

緑あふれる優しいお話です
3歳からおすすめ
・優しいおばあさんがいい
・優しいお話がいい
・緑をたくさん感じられる
ポイント①優しいおばあさんがいい
その おばあさんは、
にわの ある いえに
すんで いました。
ちいさな ちいさな にわでした。
にわの まんなかには、
おおきな おおきな
もちのきが ありました。
小さな庭に不釣り合いな大きな木をみて近所の人は、
「おばあさん、あんな き、
きっておしまいなさいよ。」
と言いました。
でもおばさんは、
「いえいえ、そんな かわいそうな
ことは できません。
わたしは、 あの きが
とても すきなんです。」
と言いました。
木を大切に思っているんですね。
ふくよかでとっても優しそうな顔をしているおばあさんがいいですよ。
ポイント②優しいお話がいい
長い冬が終わった頃、おばあさんはこんなことをしました。
おばあさんは、もちのきの したに、
ちいさな はたけを つくりました。
そして そこに あかかぶの たねを
じゅっつぶ まきました。
そうしてあかかぶが育つと、おばあさんはあかかぶをごちそうしようとお客さまを待ちました。
ところがお客さまは誰もきません。
そんなある日のこと、10本あったあかかぶが9本に!
しばらくすると、電話がかかってきて――?
優しい展開のお話にほのぼのしますよ。
ポイント③緑をたくさん感じられる
絵本の中はたくさんの緑であふれています。
黒井健さんの描かれる人物のかわいらしさと、ぼやかされた緑の美しさが印象的な絵本です。
たくさんの緑を感じてくださいね!
安房直子のおすすめの絵本
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4歳からおすすめ
みどりのほし
作 | 林木林 |
絵 | 長谷川義史 |
出版社 | 童心社 |
出版年 | 2020年 |

心がぐんぐん広がっていく
4歳からおすすめ
・言葉がいい
・絵がきれい
・世界は広くつながっている
ポイント①言葉がいい
この絵本は、作者の林木林さんが、2011年「こどもの詩 周南賞」で作詩部門優秀賞を受賞した詩をもとに、絵本の言葉として新たに書かれたものです。
主人公の男の子はある発見をしました。
あっ なつみかんの てっぺんに
みどりのほし みぃつけた
こうして男の子はみどりのほしを探しはじめたんです。
あっ トマト ピーマン ししとう
みんな ほしの かんむり かぶってる
みどりのほしで うまれた しるし
詩のような素敵な言葉がたくさん出てくるところがおすすめポイントです!
ポイント②絵がきれい
そんな素敵な言葉に、長谷川義史さんがみずみずしい絵をつけています。
大胆でも繊細でもあって、
水彩色が混ざり合ってとてもきれいです。
あまのがわを ぼくは はしる
ながれぼしと おいかけっこしながら
はしる はしる
ながれぼしを おいこして
私はこの緑の天の川の場面が好きです。
緑の空がすてきだと思いました。
ポイント③世界は広くつながっている
ほしが くさの うえに
だいのじに ねそべった
ぼくも いっしょに
だいのじに なった
ほしと てを つないで
せいざを つくってるよ
ぼくも ほしなんだ
こうして心はどんどん広がっていきます。
ぼくたちは みんな ほしの こども
てを つないで
せいざを つくっている
心がぐんぐん広がって、宇宙まで届くような壮大さをぜひ感じてみてください!
公式の動画では絵本の内容をみることができますので、お時間がある方はぜひご覧下さい。
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長谷川義史のおすすめの絵本
↑こちらの絵本を紹介している記事
あめかっぱ
作 | むらかみ さおり |
出版社 | 偕成社 |
出版年 | 2020年 |

ちょっと怖いけど優しい
4歳からおすすめ
・かっぱが印象的
・深くて濃い緑がきれい
・こんな風に遊んでみたい!
ポイント①かっぱが印象的
このまちでは、雨の日にこどもが留守番するときは、かっぱと一緒に過ごすことになっていました。
というわけで”なおちゃん”のところにもかっぱがやってきました。
「どうも、かっぱです」と、
みどりいろの おかしな
いきものが かおを
のぞかせているでは ありませんか。
なおちゃんはかっぱに会うのが初めてなのか驚いてしまいました。
びっくりして、なおちゃんは
テーブルの したに
かくれてしまいました。
するとかっぱがテーブルの下をのぞき込んでなおちゃんに話しかけるのですが・・・・。
そのかっぱの顔が・・・こわい・・・‼
大人の私が見てもちょっと怖かったです(苦笑)
でもその分かっぱがとても印象に残り、この絵本も印象深くなりました。
この場面以外かっぱは全く怖くないので安心して読み進めてくださいね。
ポイント②深くて濃い緑がきれい
むらかみさおりさんの絵は重厚で、しっとりしていて、森の深い緑色がとても美しいです。
どの場面もまるでポストカードのよう。
深みがあって美しいイラストをじっくりと味わってくださいね。
雨の日に読んであげるのもおすすめです。
ポイント③こんな風に遊んでみてみたい!
かっぱはなおちゃんにこう呼びかけます。
「なおちゃん、きょうは
ピクニックびよりですよ」、と
いいました。
「あめなのに?」なおちゃんが
おもわず きくと、
「あめだから!」と、
かっぱは こたえました。
というわけで、かっぱの手作りおにぎりをもって雨のピクニックに出発!
同じく留守番をしていた友だちと合流して、大きな木の上の遊び場で遊びます。
それがとっても楽しそうな遊び場だったからたまりません。
かっぱも一緒に!
雨の日の外遊び!
子どものワクワク、ドキドキが詰まっているところがおすすめです。
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5歳からおすすめ
ちいさな木
作 | 角野栄子 |
絵 | 佐竹美保 |
出版社 | 偕成社 |
出版年 | 2023年 |

言葉と絵が素敵
5歳からおすすめ
・印象的な言葉がいい
・動きのある絵がいい
・余韻の残る終わり方がいい
ポイント①印象的な言葉がいい
ちいさな木が 一本 はえていました。
もう何年も、そこに はえていました。
お話の主人公はこのちいさな木、キッコです。
キッコは犬のゴッチに誘われて、”自分の好きなところ”へ行く旅にでました。
キッコとゴッチには他にも旅の仲間がいるのですが、キッコとゴッチを含めて名前や音が印象的なんです。
- 犬のゴッチ・・・スタン スタン スタン と歩く。
- 木のキッコ・・・イッポ イッポ イッポ と歩く。
- 岩のイワオ・・・ゴロンチョ ゴロンチョ ゴロンチョ と歩く。
- 沼のイッテキ・・・ポチョンチョ ポチョンチョ ポチョンチョ と歩く。
どれも個性的ですね。
言葉の響きが楽しいところが、子ども達も集中して聞いてくれるおすすめポイントです。
ポイント②動きのある絵がいい
絵本の色は黒と緑色だけです。
その色の使い方が圧倒的で、濃淡で遠近感や質感を確かに表現されています。
そして動きのあるイラストがとてもいいんです!
木や沼はふつう動きませんよね。
どうやって動かすのかな?と思ったら、木のキッコは、根っこが2本に分れて足のようにして歩きました。
沼のイッテキは大きなみずたまりが足のように2本にわかれて歩くんです。
まさにポチョンチョポチョンチョという音が聞こえてきそうな歩き方!
動きがとてもコミカルで楽しいですよ!
完成度の赤いとてもきれいな絵なので、ぜひ読んで美しさを味わってくださいね。
ポイント③余韻が残る終わり方がいい
「あっ!わたし、ここがすき!」
キッコが たちどまって、いいました。
キッコ達はついに好きな場所を見つけました。
それから仲間達との、いつもと違う、すてきな生活もはじまりました。
だた1人をのぞいて・・・・・・。
余韻が残る終わり方が、考えさせられてとても良かったです。
裏表紙までじっくりとみたくなりますよ。
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小学生からおすすめ
トチの木の1年(低学年~)
写真・文 | 太田威 |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 2012年 |

自然に触れられる絵本です
6歳からおすすめ
・トチの木の1年が分かる
・トチの木の恵みが分かる
・写真の絵本で分かりやすい
ポイント①トチの木の1年が分かる
題名の通り、トチの木が一年でどう移り変わるかがよく分かります。
春。
春のトチ林はあかるくて、
空気がすんでいて、
とても気持ちがいいのです。
夏。
初夏になり、気温があがって
汗ばむようになると、トチの花が
いっせいにさきました。
まるでクリスマス・ツリーのような
形をしています。
秋。
秋も深くなり、トチの木の葉が
黄色に色づきはじめたころ、
(中略)
大きく実ったトチの実は、風もないのに
ボタッ、ボタッとおちてきました。
冬。
お正月のトチもちつきがおわるころ、
トチの大木は、雪のなかに
うもれようとしていました。
雪のなかで、じっと春をまつのです。
そしてまた春が巡ってくるんですね。
トチの木の1年が分かりやすく紹介されているところがおすすめです。
ポイント②トチの木の恵みが分かる
1年を通して移り変わるトチの木。
それが人にどういう恵みをもたらしてくれているかが、季節ごと紹介されています。
ういういしいトチの若葉が、
あたらしい緑にかがやいています。
あおぎみていると、
緑の宇宙のまんなかに いるようです。
春は明るくて空気のいい気持ちよさを。
トチの花が満開になると、
全国からハチ屋さんがやってきました。
トチみつは、あわい琥珀色をして、
とろりとあまいので人気があります。
夏はトチみつや新巻(あらまき)を。

新巻(あらまき)って何?
新巻とは、川で捕まえたイワナやサクラマスのはらわたを抜き、塩をまぶしてからトチの葉っぱでつつみ、ワラでぐるぐる巻いたものです。
トチの葉っぱには、食べ物をくさりにくくする力があるそうです。
トチの実をひろっている
おばさんたちに、あいました。
(中略)
たずねてみると、
「おもちにすると、
とてもおいしいんだよ」
と、おしえてくれました。
秋はトチもちを。
こうしてトチの木は1年を通して、私たちにたくさんの恵みをもたらしてれているんですね。
ポイント③写真の絵本で分かりやすい
写真の絵本なので、トチの木がどんな木なのか、トチの実がどんな形なのか。
そういった疑問が視覚的にも分かりやすく解決します。
たっぷりと自然に触れられるみずみずしい絵本なので、ぜひ読んでみてくださいね。
まとめ
今回は【保育士おすすめ!初夏を感じる緑いっぱいの絵本】をテーマに7冊紹介しました。
気になる絵本はありましたか?
どれか1冊でもお気に入りの絵本に加えてもらえたら嬉しいです。
紹介された絵本をもう一度チェックしたい方はこちら
当ブログでは他にも色々な絵本を紹介しています。
どれもおすすめの絵本ですのでぜひ読んでみてください。
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